手付金を取り戻すまでの記録
200万円が返ってきた
営業部長との面談(契約から78日目)
面談の約束日は土曜日。
仕事は半日で終わらせて、これまで何度も行った営業所へ向かった。
先週の面談の際には、他の客は誰もいなかった。しかし、この日は営業所内には他の客がたくさんいた。心の中で、こんなとんでもない会社で買うことのないように思う。
この日も、前回と同じ場所、奥の方の席に案内された。
しばらくすると担当営業マンが出てきた。
前回の強気な態度とは打って変わり、恐縮した態度だった。
しかし、何度も嘘の説明をしてきた担当営業マン。信用できるわけがない。
電話で話をしていた内容をまた説明し始めた。
・書類を作成するには時間がかかる。
・この前説明した内容を書面で作成となると弁護士に依頼しなければならない。
・弁護士に頼むとなると裁判になる可能性がある。
・裁判となれば、当社との戦いという形になるので、さらに時間がかかる。
・時間が膨大になるので、結果手付金を返すのが遅れる。
・時間がかかる分あなたにとって損になる。
電話でも話していた言い訳を延々としてきた。長くなりそうだったので、担当営業マンの話を止めさせ、僕は言った。
「僕は、あなたが土地の契約をしないと待つことは出来ないと言って、新たな契約を迫ろうとしたのは違法行為だと思っています。
嘘の説明を行い、【履行の着手】にあたる契約を結ばせようとした。これは、明らかな違法行為です。」
担当営業マンの顔は固まり、しばらく黙っていた。
「上の者にも報告をしないといけないので、しばらくお待ちいただけますか?」
そして、上司を呼んできた。
名刺には「営業部長」と書かれていた。
営業部長は「忙しいのに、何ですか?」という態度で出てきた。
担当営業マンが営業部長に「お客様がご納得されていないようなので、手付金を返金したいのですが・・・」と言って経緯を説明し始めた。
説明が終わると、この営業部長は僕に、
「で、あなたはどうしたいのですか?」
と言った。
担当営業マンが、嘘の説明をして強引に契約を進めようとしていたことを詫びる様子が全くない。予想はしていたが、担当営業マンだけではなく、会社全体が強引な営業を行う会社だと再認識する。
「こんな、嘘をついて営業をするような会社とは、おつきあいはしたくないと考えています。ですが、契約は交わしていますので、手付金を放棄するかどうかはゆっくり時間をかけて考えようと思っています。」
「はあ、そうですか。そうおっしゃるならそうしましょうか。」
この営業部長は一体何しに来たんだ?
部下が不始末をしたらまず謝るものだと思うのだが、登場してきた営業部長は他人事のような物言いだった。
その後も、この営業部長は、
「うちの会社はそんな違法行為はさせていませんし、問題になったことなど一度もありませんから。」
・・・こんな話をされて、何をしに来たのかわからないまま面談を終えた。確認書を書くように言ってくることもなく、この日は帰宅することになった。
夜中に突然の訪問
夜9時過ぎ。家でゆっくりしているとインターホンが鳴った。
「こんな時間に誰だろう?」と思ったら、今日面談した営業部長だった。
「もう9時過ぎですよ。一体なんですか?」」
「今日はありがとうございました。○○(担当営業マン)から、内容をよく聞いていなかったので大変申し訳ありません。少しお話をさせていただきたいと思いまして・・・。」
しかたなく、僕はマンションの下まで降りていった。
「○○(担当営業マン)が本当に申し訳ありませんでした。できるだけ、手付金を早くお返ししたいと思いまして、振込口座を教えていただければと思いまして・・・。」
営業部長は、日中面談した時に態度とは打って変わった態度だった。
この会社の人はみんなこんな感じなのだろうか。客に対して強気な態度で対応し、言うことを聞かないとわかれば、コロっと態度を変える。どちらにしろ、信頼できない会社であることは間違いない。
とにかく週明けにすぐ手付金200万円を振込で返金するというので、僕の振込口座を伝えると営業部長はすぐに帰っていった。
ついに手付金200万が返ってきた!(契約から80日目)
日曜日は業者からの連絡はなく月曜日になった。いつものように仕事に行く。
昼休みに携帯電話を見ると、一昨日夜中に突然訪問してきた営業部長から留守番電話が入っていた。
「先日は、遅い時間にお伺いしてしまい申し訳ありませんでした。●●●●の●●と申します。
本日、お振込みをしましたので確認していただければと思います。
書類関係なんですが、お預かりしている書類も含めて返却したいので連絡いただけないでしょうか?」
すぐに、銀行の残高照会ダイヤルに電話をしてみる。
自動音声のナビゲーションどおりにすすむと、
「ただいまの残高は、2,473,719円です。」
残高が200万円増えていた。
念の為、仕事帰りに銀行に寄って記帳する。
あの嘘の説明を繰り返し、強引に契約を進めようとした会社から200万円が振り込まれているのを確認した。
契約から80日目、僕はついに手付金200万円を取り戻すことができたのだ。
「ああ、やっと返ってきた。苦しかったな。」
嬉しいという気持ちはなく、ひどい業者を相手にして疲れたという気持ちでいっぱいだった。